2023.09.27
この記事では音楽による幼児教育の必要性などについて解説していきます。
「音楽が子どものためになることは知っているものの具体的な効果などは把握していない」「どのような方法で音楽に触れさせるべきか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、幼児のうちから音楽教育をすることの必要性、音楽教育に期待できる効果、音楽への触れさせ方・音楽教育の始め方などに関してお伝えしていきます。
「どことなく良い影響がありそう」と感じている人は多いと思いますが、幼児の頃から音楽教育を始めることには具体的にどのような意味があるのでしょうか。まずは簡単に解説します。
幼児のうちから音楽に触れることで、言葉を聴き取る能力が育って、言語能力の発達に良い影響を及ぼすとされています。
人間の聴覚は4~5歳くらいの時期に最も発達すると言われています。この頃にたくさんの音楽を聴く、歌う、演奏するなどの経験を重ねることで、脳の聴覚野の神経細胞の数が多くなると判明しています。
もちろん音楽による幼児教育をしなかったからといって、能力が発達しないわけではありません。
ですが、音楽による幼児教育を受けていた子どもたちの方が、知能テストで高い点数を出しているというデータもあります。そのため音楽は子どもの脳に良い影響を与えると見られているのです。
それでは音楽による幼児教育が脳に与える効果をいくつか紹介していきます。多くの方がイメージしているよりもさまざまな効果が望めますので、興味がある方は音楽を取り入れてみてはいかがでしょうか。
音楽を聴くことで、さまざまな高さ・ボリュームの音、伴奏、リズム、種類の違う楽器の音色などが耳に入ってくることになります。「頭」でそのたび「これは違う音」「これはあの音に近い」などと判断しているわけではありませんが、「脳」は聴き分けています。
こういった音を聴き分ける能力がアップすることで、聞こえる「単語」の違いが分かるようになり、語彙力が上がると言われています。つまり言語能力が発達するということです。 ちなみに3年以上ピアノ演奏による幼児教育を受けた子どもたちは、受けていない子どもたちよりも語彙が豊富だったという研究データもあります。
音楽と運動能力は一見無関係に思えるかもしれませんが、音楽を聴いてリズム感がアップすると左脳と右脳の連携が良くなると言われています。
つまり脳の使い方がうまくなるということですから、知覚と動作の連携がスムーズに行われ、運動能力の向上が期待できます。なお知覚と動作の連携例としては、「五感を通じて周りの状況をとらえて(知覚)、適切な動きをする(動作)」などがあります。
また、音楽を聴くだけでなく、演奏もする場合は、「音を聴く」「楽譜を目で見る」「手を細かく動かす」などの複雑な動作をします。そのため特に運動機能を司る小脳を刺激して、運動能力をさらに高めることが望めます。 音楽を聴くだけでも楽しいのですが、お子さんがある程度成長したら「演奏」も取り入れるといいかもしれません。また、楽器は使わないまでも、音楽に合わせて手拍子をしたり、身体を揺らしたりすることも効果的です。
「効果1」ともつながりますが、音楽を繰り返し聴くことによって、聴く力の発達が期待できます。さまざまな音の聴き分けが可能になるため、外国語の発音の差を聴き取ることにもつながります。
もちろん音楽を聴くだけで外国語を習得できるわけではありませんが、「外国語を聴き取る能力」を持った状態で外国語の勉強を始められることは、大きなアドバンテージになります。
義務教育でも英語を習いますから、「外国語を聴き取る能力」の必要性は高いと言えるでしょう。先の話にはなると思いますが、学校の試験や受験でのリスニングテストなどでも大いに役立つはずです。
音楽を楽しむ中で周囲と協力したり(合唱、合奏など)、先生や親から教わったりする機会が増えると、「周囲に適度な関心を持つ能力」や協調性などが養われると言われています。
ちなみに、音楽の授業や課外活動などに参加している子どもたちを対象とした複数の研究から、そういった子どもたちには主に以下の傾向があると見られています。
・達成感を覚えて満足感や自信がアップしていく
・両親や先生とのコミュニケーションが多い
・物事に自発的に取り組める
さて、少し話は変わりますが、音楽は古くから、人間の集団内の結束力を高めて、共同作業をスムーズにするためにも活用されていました。
求愛、狩り、子どもの世話、お祭りなどで音楽は重要な役割を果たしてきました。 このような歴史を踏まえて考えると、「音楽をみんなで楽しむ」という活動そのものに、子どもたちの仲間意識などを高める効果があるのかもしれません。
キレイな音を楽しんだり、悲しい音色を味わったりすることで、脳の「偏桃体」という感情に関係する場所が刺激されて、感受性が良くなると言われています。
感受性が豊かに育つと、人の気持ちを読み取ったり、自分の気持ちを表現したりすることがうまくなります。そのため良い人間関係を築くことなどにも役立ちます。 子どもの興味・関心や成長度合いにもよりますが、子どもと一緒に音楽を聴きながら「どんな曲だと思った?」「どんなことを感じたかな?」などと聞いてみるのも面白そうです。
ただし、子どもが少し変わった感想を言ったり、何も言えなかったりしても、否定しないことが大事です。
音楽による幼児教育を受けていると、自然と音感が鍛えられると言われていて、中には絶対音感を身に付ける子どももいます。
絶対音感と聞くと特殊技能に思えるかもしれませんが、実は素質自体は持っている人がほとんどと言われています。
ただ、大きくなってから音楽教育を始めても絶対音感は身に付けにくいとされています。そのため特に「子どもに絶対音感を習得させたい」という場合は、音楽による幼児教育の必要性は高いと言えるでしょう。
続いては子どもを音楽に触れさせるべきタイミングと、そのポイントについて解説します。「幼児教育」と聞くと少し重いものに思えるかもしれませんが、「音楽」という文字通り、子どもと一緒に音を楽しむことが大事です。
大手の音楽教室の中には1歳から音楽を始められるところが多いです。そのため1歳くらいから音楽に触れさせるといいでしょう。
ただし、1~3歳くらいまでは手の腱が未発達ですから、その時期に楽器を習わせると手を傷めてしまう可能性があります。そのためまずは1~2歳くらいから、自宅などで楽器を使わせずに音楽に触れさせるのが良いでしょう。
そして音楽に触れさせることそのものは簡単ですが、子どもの年齢的にも「子どもが自発的に音楽を聴く」ということはほとんどないはずですから、親が積極的に動くことが大事と言えます。
例えば親が歌を歌う、おもちゃの楽器を鳴らす、CDやYouTubeで曲をかけるなどの方法があります。また、一緒に身体を動かしたり、音に合った映像を観たりすることで、親子ともにより音楽を楽しむことができ、お子さんは自然と音楽を好きになるはずです。
すると最初は「聴くだけ」「観るだけ」だった子どもが、自分で歌を歌ったり音を出したりするようになる場合が多いです。
「リトミック」とは音楽教育の一種であり、音楽に合わせて身体を動かしたり、表現したりすることによって、身体や心の発達(想像力、集中力など)を促すものです。
家庭でもリトミックはできますが、リトミック教室の先生は技術面も熟知していますから、より子どもの心をキャッチして、音楽の楽しさを伝え、お子さんの心身を養ってくれることでしょう。また、家庭では扱いにくい楽器を演奏したり、大きな音を出したりすることもできます。
これによって子どもが音楽への興味をさらに深めれば、自宅でもさらに積極的に音楽を楽しむようになるかもしれません。
ヤマハ音楽教室でも「リトミック」のように音楽に合わせて身体を動かしたり、歌で表現したりお子様の自発性を高めるレッスンを展開していますので、一度体験に参加してみてはいかがでしょうか?
「リトミック」の要素を取り入れたレッスンなどで音楽に親しみ、慣れてきたら、子どもの発達に合わせて専門の音楽教室に通うのもいいでしょう。
ただ、「発達に合わせる」とはいっても難しいですから、まずは音楽教室の無料体験でお試しして感覚を掴んだり、無料体験などの際に先生と相談したり問い合わせたり、教室から資料を請求したりするとスムーズです。
大事なのは、お子さんが楽しく、積極的に音楽に触れられるようにしてあげることです。
音楽による幼児教育の必要性などについて解説しました。音楽による幼児教育をすることで子どもの脳に良い影響を与えて、言語能力、運動能力、聴く力、協調性、感受性、音感などを養うことができます。
音楽に触れさせるためには、まず自宅などで自然と音楽に触れられる環境を作ることが大事です。その上でお子さんの成長や興味に合わせて「リトミック」の要素を取り入れたレッスンにも参加してみて、その後はお子さんの発達などを見ながら専門の音楽教室などに通うといいでしょう。
ただ、どのような音楽教育をするとしても大切なのは、子どもが楽しく積極的に音楽に関われるようにすることです。